今週のお題「寿司」
みなさんは『将太の寿司』という漫画をご存知でしょうか?私が高校生の頃にマガジンで連載していた、寿司バトル漫画です。
あの『ミスター味っ子』の寺沢大介先生の作品とあり、クラスの友達と回し読みして毎週楽しんでいました。
芽ネギの寿司
基本的に寿司の味で戦う漫画なので、毎回様々な寿司が出てきます。基本に忠実だったり、あっと驚く創作寿司だったり。その中でも私たちクラスが騒然となった伝説のお寿司があります。
それが、「芽ネギの寿司」です。
将太はこの漫画の肝である、全国新人寿司職人コンクールというパンチのある大会に出場する際、芽ネギの寿司で勝負をかけます。
しかし当時高校生だった私たちにとって、芽ネギ自体が謎の食材であり、「芽ネギの寿司」というのがどんなものか全く想像がつかなかったのです。
ちょうど表紙になっていたものがあったので、商品リンクを張りますね。
将太の寿司 ついに完成! 締めの一品編 (講談社プラチナコミックス)
キャプションだけでもすっごい面白そうなのが伝わってきますね。この中央にあるのが芽ネギのお寿司です。
こんな草みたいなお寿司がそんなに美味しいのか、当時の私たちには全く分かりませんでした。そして「どんなものなんだろう」という思いは、みんなの心に大きな足跡を残していったのです。
チャンスが来る
その後私もいくらか大人になり、芽ネギの寿司を食べられるチャンスがやって来ます。
確か20代前半くらいの頃です。回らないお寿司屋さんのメニューにそれを見つけた時、最初は驚きましたが、何の迷いもなくそのお寿司屋さんに入りました。女友達と2人でのことです。
親としか行ったことのない回らないお寿司。しかもカウンター。今だったらかなり勇気のいる行動だと思いますが、その時は「芽ネギの寿司を食べる」という期待いっぱいで、不安など一切なかったのでしょう。
席に着き、何点かのお寿司に舌鼓を打ち、本来の目的を目の前の板さんに言いました。
「芽ネギをください」
束の間の待ち時間が何と長く感じられたことか。そして憧れに憧れた芽ネギの寿司が、ついに私の目の前に現れたのです。
「これが…芽ネギか」
漫画はシャリの上にそのまま芽ネギでしたが、出てきたものは海苔が巻かれ、その上に梅肉が乗っていました。漫画とはちょっと違うけど、憧れの人が目の前に出てきた感動はそれは凄いものでした。
よく考えたら、芽ネギ自体を見たことも食べたこともない小娘に、正当な評価なんてできるはずもありません。万能ねぎよりずっと細い、見た目の感想は「芝生みたい」でした。
食べてみると、ネギの香りが鼻に抜ける感じがしたとかしないとか…昔すぎて忘れてしまいましたが、とにかく梅の味がしたのを覚えています。そりゃ梅肉乗ってたからね。
味の感想は「梅味のマイルドなネギ」でした。
美味しかったんですよ。美味しかったんですけど、初めて食べたものって正当な判断できますか?結局あれ以来一度も食べる機会がなかったので、あの味が芽ネギの正解だったのか今だに分かりません。
もう一度食べてみたいんですが、もう最近じゃ回転寿司しか行かないので、とんとお目にかかっていません。
寿司職人のカッコよさは異次元
人生初の芽ネギの寿司を握ってくれた板さんは、「これぞ職人」って感じの寡黙な人でした。
味も分からないような小娘が2人で来て、ちょっとやりにくかったかな?そもそも寿司屋のカウンターに場違いだったかな?と思いながらお会計を頼みました。伝票を持ってレジに行こうと腰を浮かしたら、レジがちょっと混んでいたんです。
「あ~並んでるな~、空くまでちょっと待とう」と席に座り直したところ、なんとその板さんが、ちょいちょいっとお寿司を握って、私たちそれぞれの寿司下駄の上にお寿司をひとつ乗せたんです。
「あれ?伝票切ったよな?」と思って板さんの顔を見ると
「!!!」
会計で待たせているお詫びに、お寿司をひとつサービスしてくれたんですね。それが分かった瞬間、あまりのカッコよさに悶えましたよ。
だってそのお寿司が、種類は忘れちゃったけど「この貝おいしいねー」と友達と話していた貝だったんですよ!
その時、「寿司職人って、寿司を握るのがうまいだけじゃダメなんだ。お客さんの会話を聞いて、食べてる表情とか見てるんだな」って思いました。そういえば客から話しかけられて、会話に付き合ってたりもしてますよね。確かに将太の寿司の親方もそんな感じだった!
寿司を極めた人って、観察力・対人関係・そしてもちろん寿司の腕前、これら全てを自然にこなせてるんですよ。そしてそれをあくまでもさりげなく披露するの、最高にカッコいい!
でも回転寿司しか行けない…
回らないお寿司高いよ~。
あと、寿司職人に観察力や会話スキルがあっても、自分がコミュ障だから多分会話しながらの食事は無理だと思う!緊張して味がわからなそう…。
でもいつかは、寿司屋の大将と魚うんちくをカッコよく話せるような大人になってみたいです。
そして「芽ネギの寿司」についての私の思い出を語ってみたいとも思っています。
↓ミスター味っ子についても語ってた