わかめ手帖

子なし既婚のおばさんのブログです。適当に生きてますが、それなりに楽しいです。

20歳の時に死亡届をもらいに行った話

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みなさまこんにちは。

前回、実家のトイレで姉が子供を産んだ話を書きました。

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あまりみなさんトイレで出産しないみたいで、結構反響がありました。

あの時の子は元気いっぱい育っているので安心してくださいね(^^)

生と死の交錯する家

甥っ子が誕生する少し前、実はあの家で祖父が亡くなっています。

変わり映えのないいつもの朝、祖父は起きて来ずに眠ったまま亡くなりました。隣で寝ていた祖母は全く気が付かなかったようです。

88歳。

確かに少し弱って来てはいたのです。

しかし前日は普通にみんなと一緒に食卓で母の作った夕食を食べ、布団の中で大好きな藤田まことさん主演の『はぐれ刑事純情派』を見て就寝したんです。

いつもと違うのは起きて来なかっただけ。

みんなパニックですよ。

近所のかかりつけ医に連絡して、すぐに来てもらえることになりました。

母のいらん情報

病院で亡くなる方が大半の昨今、家で死亡の診断をするのはかなり久しぶりだったようで、かかりつけのお医者さんもなかなかテンション高めでいらっしゃいました。

母もテンションが上がっていたのか、前日の様子を説明するにあたり「はぐれ刑事純情派を見ていた!」と繰り返し言うのです。

後にお線香をあげに来てくれた人にも逐一『はぐれ刑事純情派』のことばっかり言うので、その情報はいらないんじゃないかとずっと思っていました。


はぐれ刑事純情派 [DVD]

吉田栄作かっこいいですね。若かりし頃の西島秀俊さんも出てましたよね。

同じ刑事ドラマ枠に『さすらい刑事旅情編』『はみだし刑事情熱系』もありましたが、祖父が好きだったのは『はぐれ刑事純情派』です。タイトル紛らわしいので間違えないでくださいね。

『はぐれ刑事純情派』が診断に何か影響したかは分かりませんが、死因は老衰。

ウイスキーを毎晩嗜み、ドロッドロに濃いコーヒーを一日に何杯も飲み、浴びるほど煙草を吸う生活をしていた祖父。生粋の煙草喫(たばこのみ)でした。

「好きな物飲み食いしてポックリ逝けて、ホントに羨ましいわね〜」と後にいろんな人に言われました。

確かに羨ましいです。

家で亡くなると色々大変

病院と違って自宅で亡くなると、色々なことの手配を自分たちでしなければいけません。

まず警察と葬儀屋さん。警察は事件性がなくても呼ばなきゃダメなんですよ。

問題は葬儀屋さんです。急に葬儀屋さんを手配なんて言われても困っちゃいますよね。うちはご近所さんが「行きつけの居酒屋ある!」のテンションで「行きつけの葬儀屋さんいる!」と紹介してくれました。当時ハタチだった私は、大人の人脈に感心したものでした。

とりあえず私は特にやることもないし、パンでも食べようとした矢先、母がインパクトのある一言を放ったのです。

「あんた暇だったら死亡届もらってきて!」

暇だったら死亡届もらってきて

「暇だったら」の後に続く言葉として、「死亡届」はなかなかレアなんじゃないかと思います。

なんでもかかりつけ医が「最近死亡診断書なんて書いてないから在庫切らしてるんだよね」ということらしいのです。

えっ!用意しとけよ何やってんだよ!

と思いましたが、お爺ちゃん先生がわざわざ来てくれたんですから仕方ない。

死亡届と死亡診断書って見開きでセットになってるの知ってました?

履歴書でいう学歴・職歴、以上って書くページが死亡届で、資格とか通勤時間を書くページが死亡診断書になってます。

「あれがないと先に進めない!役所でもらえるからはよ!はよ!」

って感じで急かすんですよ。死亡届取りに行けって急かされた事ある人います?

区役所まで『はじめてのおつかい』ですよ。

「死亡届ください」

「念のため2枚ください」

おつかいキッズと違って私は大人なので、書き損じを踏まえて多めにもらう機転を利かせてみましたが全く必要なかったです。

葬儀屋さんの万能感が凄い

医者と警察と葬儀屋さんという、死に対面する機会が多いBIG3が揃ったわけですけども、やっぱり本職の葬儀屋さんはレベルが違いました。

家族に段取りを伝えながらテキパキと行動してくれるのです。私たちは葬儀屋さんの言う通りに動けばいいだけ。

しかも流れ作業的な感じではなく、故人への尊厳や遺族への気遣いも忘れないのです。時々通り過ぎる猫にまで「チチチ」と構う心遣い。

大往生とはいえ突然家族を亡くした喪失感がある中、自分が何をしたらいいか分からない状況は不安であり恐怖ですよね。

そんな不安を感じさせないよう、先の予定を細やかに伝えてくれるのです。

ヒーロー

これがヒーローか、と思いました。

葬儀屋さんのおかげでつつがなく葬儀まで駆け抜けることが出来ました。

ちなみに祖父は最初から最後まで気持ちよく寝ているようにしか見えませんでした。

良い最期を迎えられて葬儀屋さんに心から感謝しています。

そんな実家でした!

祖父の死も甥っ子の生も受け入れてくれた家だったのですが、家族が少しずつ減り、両親2人だけでは広すぎるし維持が大変ということで、更地にして売りました。

家族の思い出の詰まった家はもうありません。

甥っ子が産まれた時についたトイレの血も、タバコの煙で真っ黒になった祖父母の部屋の壁ももうありません。

両親は今は便利なマンション暮らしです。

でもそれでいいと思うんです。

生活に合わせて家を住み替えていく、それが一番良いんだと私は思います。

ね?

LIFULL HOME'Sさん!そうだよね?

…どうです?このブログ、はてなブログの特別お題「家を売る」用に書き始めたものの、はぐれ刑事純情派に思いのほか尺を取られて全然家を売る話じゃなくなっちゃったという悲しいブログです。

とりあえず最後だけお題に絡めたぞ!

LIFULL HOME'Sさん、以上が私の「家を売る」ストーリーです(^^)

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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