寝坊しました。
9時に出社していなきゃいけないのに、8時38分に目が覚めました。
一週間前私に起こった出来事を基に、今回は「寝坊した時に発揮される人間の行動力」について考察してみたいと思います。
1.思考停止
まず初めに、一瞬思考が止まります。いつもだったら道を歩いている時間に布団の中にいるんですから、まあ無理もありません。
全人類例外なく、思考停止からのスタートになるかと思います。
2.パニックになる
今置かれている状況を整理するため、「えっ?えっ?なんで?」と一度疑問を投げかけます。そして自ら答えを叫ぶことで、この状況がどういうものか理解するのです。
「寝坊した!!」
今回の寝坊の原因は、横になってスマホを見ていたらそのまま寝落ちしたことです。そう、アラームをかける前に。
そのことを周囲、もしくは天に向かって早口で説明します。説明をすることで自分自身へ戒めてもいるんですね。「お前は取り返しのつかないミスをしたんだぞ」と。
状況から考えると完全に遅刻です。
そして「ヤバイヤバイヤバイ…」と部屋をウロウロしながら、
「この私が遅刻するなんて!」
などと、誰に対してか謎の自己PR(私、いつもはちゃんとしてるんです!)を挟みつつ、一通りジタバタします。
3.急に冷静になる
1分程ジタバタした後、急に心に静寂が訪れます。どっちみち仕事に行かなくてはいけないので、ジタバタが無駄だと悟るのです。
「さあ、始めようか」
スイッチが入った瞬間です。
ここからの私はもう凄い。天才級のスピード&マルチタスクです。
歯茎から血が出る程の高速で歯を磨き、顔を洗いながら遅刻の理由を考えます。慣れた職場なら「寝坊しちゃって~」で良いかもしれませんが、私はまだ先月入ったばかりのド新人です。
もちろん噓をつく。嘘をついたら閻魔様に舌を抜かれる?こんな非常時の嘘も許してくれない奴なんて、こっちから地獄に落としてやるわ。
コロナの昨今、内科的な「体調不良」は色々聞かれてやっかいなので控えたい。ここは外科的要因や通勤トラブルで纏めるのが得策。家族のせいにするのも良いでしょう。などと、自分の保身のための最善の理由を邪悪な顔で考えます。
そしてベストな言い訳が決まったと同時に、右手でスマホを操作します。空いた方の手はもったいないのでタンスから洋服でも引き出しておきましょう。1秒たりとも無駄にはしない。
スマホ画面に表示させるは「職場の連絡先」です。
4.大女優
連絡先を表示させたら、間を置かずに発信ボタンを押すのがポイントです。自分自身に「躊躇」の時間を与えてはいけない。ここで歩みを止めたらすべてが無駄になるのです。
発信音の後に相手が出たら、今こそ自分の中の女優を開花させる時です。ガラスの仮面を熟読している私たちなら、演技の基礎は完璧のはずですね。
舞台は自分だけのものではない。相手の呼吸に合わせる。
ここからはもう「申し訳ございません」を前面に出しましょう。この世に「申し訳ございません」以外の単語は存在しないくらいの勢いで。困った感や慌てている感を随所に散りばめるのも忘れずに。人は困ってる人には強く出られないものですからね。
まあ相手にはきっと「こいつ寝坊したな」ってバレてるんでしょうけど、そこは大人なので話を合わせてくれますよ。「大変でしたね。気を付けて来てくださいね(建前)」の言葉がもらえればミッション終了です。
こうしてみると、大人なんてものは皆何かしらの仮面を被っていて、社会っていうのは大きな劇場なのかもしれませんね。
そんな壮大なことを考えながら通話終了です。ここまで来ればもうゴールは遠くありません。
5.最終仕上げ
最後に着替えや整髪等の身支度をします。電話という一仕事を終えたので、ここでは気持ちもかなり楽になっています。いつも通り仕上げて、マスクをしてコートを着て身支度終了です。
15分
電話込みで15分。
本気を出せば身支度ってこんなに早くできるもんなんですね。いつも1時間前に起きて、ギリギリに出て行ってるのはなんなんでしょうか。何にそんなに時間をかけているのでしょうか。今までの累計で、私は相当な時間を無駄にしていたのではないでしょうか。
そんな疑問を胸に、急ぎ足で職場へと出掛けるのでした。
6.まず低姿勢
職場に着いたらすぐに、周囲に挨拶がてら謝りに行きます。基本、人は他人に興味なんてありませんが、午前中いっぱいは保険の意味でも「本当に申し訳ないです」感は出しておきます。
そして申し訳なさを徐々に散らしていき、午後になったら「朝からいましたけど?」顔で過ごしましょう。この手順を踏めば、帰りにはみんな私の遅刻のことなど忘れています。
さあ、最後に何事もなかったかのように帰宅しましょう!
~ 閉幕 ~
以上が私の寝坊劇です。
寝坊という一大事に、焦ることなくなかなか冷静に対処できていると思います。自分ながら素晴らしいと思いますね。
しかしこの素晴らしい自分は、普段の生活では決して見ることは出来ないのです。この自分はあくまでも、「遅刻によるダメージを最大限に抑えたい」という本能から発生したもう一人の自分だからです。
職場に迷惑がかかるので、私はもう寝坊はしまいと心に誓いました。そのため私はもうこの有能な自分に会うことはないでしょう。少し寂しさも残りますが、これでいいのです。遅刻は社会人として最大のマナー違反なのですから…
皆様も寝坊にはくれぐれもお気を付け下さいね。あと、こんなどうでもいい話を最後まで読んで下さりありがとうございました。